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ジャズ祭地域の柱に
2012年09月09日
ジャズフェスタでは日中は神楽殿を舞台に、地元の小中高生や大学生などのジャズやダンス、吹奏楽などが続いた=8日午後1時45分、中野区の沼袋氷川神社 |
◆中野の神社、今年も大入り
女ふたり、酒場での雑談から生まれた「町おこし」のジャズ祭が8日、中野区の沼袋氷川神社で開かれた。5年目を迎えた今年は「未来を担う子ども」がテーマ。地元の商店街や町内会、消防団や区職員まで巻き込んで、今や地域最大の祭典へと育っている。
◇女性2人の企画、年々成長
企画したのは、中野区野方在住で日本舞踊を教える辰巳まゆみさん(38)と同区沼袋の会社員近藤房子さん(45)。双方の町の名から「NUNO JAZZ FESTA」と名づけた。 「子どもをもつと女性はジャズを聴く機会がない。町おこしに、女性や子どもが気楽に楽しめるジャズ祭をしようよ」。趣味のジャズを通じて親しくなった2人は5年前、沼袋のジャスバーで盛り上がった。仲間と実行委員会を立ち上げ、ジャズクラブで日中に「女性と子ども限定」で1回目を開いた。 知人の男性らから要望が出て翌年から老若男女に開放。寺のホールでクリスマスコンサートとしたところ約200人でにぎわった。 3回目からは広くて地元に氏子が多い沼袋氷川神社へ。毎回テーマを練り、「クールビズジャズ」と題して浴衣客にはビール1杯無料にすると、一気に1500人が参加した。昨年の4回目は3500人と、神社の夏祭りを上回った。 「子ども」をテーマにした今年は、地元の小中高生や大学生が演奏やダンスを披露。夕方からは実力派ピアニスト兼シンガーのグレースマーヤや安カ川大樹らプロのジャズグループが競演し、興奮はピークに達した。
事業は地域の善意に支えられている。境内の約40のテントは、この朝、葬儀店が東京工芸大などの学生や商店主らと力を合わせて張った。電器店が境内に電気コードを、舞台となる神楽殿には工務店が無償でシートを敷いた。神社側も「神楽は神さまを喜ばせるためのもの。ジャンルはなんであれ喜んでいらっしゃるのでは」。祭りが始まると消防団が境内を巡回した。
ブース代を払って出店したのもすべて地元の店や団体だ。沖縄、フランス、イタリア料理の店などが軒を連ね各国料理が並ぶ。子どもたちに乗り方を指導した区内のスケートボード店の店長(44)は「文化祭みたい」。区職員有志も、東日本大震災被災地の宮城県で仕入れたホタテを焼いた。
事業費は約100万円かかるが区の助成金は14万5千円。ブース代やTシャツの売り上げが収入源だが、とても足らず、三分の二は人々の寄付に支えられている。毎年春すぎから、辰巳さんらが商店街や企業を訪ね、協力と参加を求めてきた。最近は口コミで評判が広がり、「お金足りてる?」と寄付金を持ってくる人がこの日も朝から相次いだ。事業の丁寧な説明に経過や収支の報告、そして当日みんなで汗をかいて盛り上げる楽しさ……。築いてきた信頼が成功の陰にある。(斎藤智子)
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